一目見て判る方は、かなりの自作スピーカ通ですね。
これは、大地さん開発の「魔法のスピーカ」こと「FDBR型のスピーカ」の一種「Kura-G CUBE」です。
http://park11.wakwak.com/~daichi/audio/audio-home.htm
8cmのフルレンジ1本、容積が2.5リットルしか無いのにかなり低い低音が出るとの事。
以前から気になっていたのですが、どんどん改良されて仕様が変わっていくため、作るタイミングが見つけられず…(笑)
ただ今回大地氏より、周波数特性の測定を条件に試作品をユニット代のみで譲って頂けたため、ここに鎮座と相成った訳です。
ということで、まずは試聴。
いやぁ、このスピーカの定位と音の生々しさは半端ではないです。
スワン等で慣れているはずの私でも結構くるものがありました。
市販の中型サイズ以上のマルチウェイのスピーカを所有している方が聴いたら、この音はかなりのインパクトでしょう。
高域が耳に障る事が無いので、どんどんボリュームを上げていってしまい、しまいにはユニットから異音が…(笑)
この高域の耳触りの良さは、ユニットのTangBand W3-1797Sの特性なのかな?
ただ期待の低音は思ったほどではなく、高域寄りのバランスで低域の量感が足りない感じ。
手持ちのVictor SX-L33といい勝負か?(あくまで低音の量感の話で、音質はKura-G CUBEに軍配。)
とはいえ、SX-L33の半分のサイズで同等の低音が出ているのは凄いです。
ちなみに、前後をひっくり返して聴いてみると結構低域が出ているので、反射の多いライブな部屋で聴く分にはかなり補正されるのではないかと思います。
こっちのリビングは、実家と違って結構デッドなので、セッティングを詰めないとこのスピーカには厳しいかな?
さてお約束の測定。
だいたい試聴結果通りで、最低域は60Hzぐらいまで。
同一条件のSX-L33と重ねてみるとこんな感じ。
低域の音圧はSX-L33(赤)より若干落ちますが、最低域は同じぐらいですね。
SX-L33の4.5kHzのところのくぼみは、ウーハーとツィーターのクロスですね。
ちなみに、今回戴いた試作品のKura-G CUBEは、右と左で若干仕様が異なっているとの事で、両方測定してそれを重ねてみると…。
右(赤)は高域はフラットですが、100Hzあたりの落ち込みが激しいので聞いていて抜ける音があります。
左(黒)は100Hzあたり落ち込みは少ないですが、高域の落ち方が早くなっています。
この違いは、FDBRのキモである、スピーカ内部の漏斗の首の長さの違いです。
漏斗の首の長さが2cm違うと、こんな感じで周波数特性が違ってくるというのは面白いですね。
この辺をいろいろ調べてみると面白いかも。
ちなみにこのスピーカ、試しに真空管アンプと組み合わせてみましたが、どうもプッシュプルだと音が滲む感じがありました。
シングルだと澄んだ音が出るんですが、今度はスピーカを駆動しきれない感じが否めず、結局、デジタルアンプとの組み合わせが一番しっくりくるという結果に(笑)
スピーカ道は奥が深い…。