デジタル専用レコーダの補償金訴訟で東芝勝訴しかし?


録画補償金めぐり東芝勝訴=徴収義務「強制力ない」−デジタル専用機訴訟・東京地裁
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2010122700467

そこかしこで報告されているが、ユーザーの利便性を無視した規制が嫌いな私には興味深い話なので取り上げる。


ざっくりと言うと、
録画・録音ができる機器は、消費者が著作物の私的複製(コピー)を行う事ができ、間接的に著作者に被害(著作権料の取りっぱぐれ)を与えるので、その被害を補償するため、メーカーは機器に対して私的録音・録画補償金を上乗せして消費者に販売し、それをSARVHに納(上納)めろ。
というのが著作権法上の規定で決まっている。
ただ、デジタル専用機器の場合、コピーコントロールが施されており、消費者が著作物のコピーを行う事ができない。(私的複製できない。)
「だったら保証金の対象機器では無い(大体まだ決まっていない)ので、録画補償金を上乗せして販売し、SARVHに納める必要はない。」というのが東芝の主張。
ところがSARVHは、「デジタル専用機器も録音・録画補償金の対象である」という文化庁の課長レベルの判断を拠りどころに、「デジタル専用機器も録画補償金の対象だから、録画補償金(上納金)をSARVHに納めろ」と東芝を訴えたというのが今回の訴訟。
それに東芝が勝訴した訳で、万々歳と思いきや、実は素直に喜べない。
というのは、今回判決では「デジタル専用機器も録画補償金の対象である」と認定しているためだ。
そのうえで、著作権法上の規定には、「録画補償金をメーカーが集める法的強制力はない」としている。
そのため、録画補償金をメーカーは集める義務はないが、消費者は支払う義務があるということになり、このまま行くと上告後最終的に東芝が勝ったとしても、SARVHは逆に「デジタル専用機器も録音・録画補償金の対象である」というお墨付きをもらった格好となり、消費者から集める別の手段を検討するだろう。
となると、最終的には消費者の一人負けになる可能性がある。
東芝には、「デジタル専用機器では私的複製ができない点」を強くアピールしてもらって、根本的な「デジタル専用機器は録画補償金の対象外である」という判決を勝ち取ってもらいたいが、どっかで折れちゃいそうで不安(^^;)
消費者として、
「コピーコントロール下のダビング10は私的複製とは言えない。」
「デジタル専用機器で録画補償金を取るなら、コピーフリーにしろ。」
「コピーコントロールを続けるなら、デジタル専用機器は録画補償金対象外である。」
と強く消費者庁にアピールしたいところだが、こんにゃくゼリー問題を見るに、とても期待できないなぁ…。

デジタル専用レコーダの補償金訴訟で東芝勝訴しかし?」への2件のフィードバック

  1. 遅くなりましたが…
    秀さん、明けましておめでとうございます。
    私のサイトでは新年のご挨拶頂きましたが、こちらではまだだったので:ase:
    この補償金訴訟の判決、大問題ですよね。
    一見勝訴のようで、その実、消費者には大マイナスの結果でした。
    正直、裁判官が問題の本質を理解しているのか甚だ疑問ですね。
    しかも、大マスコミ、特にテレビは自分たちにも関わる問題だからか、ほとんど報道しませんよね。
    こんな状況でデジタルコピーを違法にしようって言うんだから、まったく=:[

  2. ほんと、大問題ですね。
    東芝(メーカー)は勝訴ですが、消費者としてはむしろ敗訴だと思います。
    東芝が、本来の主旨からブレずに闘ってくれると嬉しいのですが…:ase:
    しかし、マスコミはまともに報道しませんねぇ…わざと触れないようにしてるとしか思えないです。
    海老蔵の話題なんか報道してる場合じゃないと思うんだけどなぁ…=:[

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