PCをトランスポートにするその4(HiFaceの試聴)

知り合いのマニア氏の都合がついたので、HiFaceとPCをマニア氏宅に持ち込んで、CDプレイヤーとPCトランスポートの音の違いを確認してみた。
トランスポートに使うPCは、この前SSDを突っ込んで復活させたPanasonic Let'sNote。
数世代前だが未だ現役
Mobile Pentium3の700MHzと非力なので、オーディオがらみのアプリ以外はほとんど外してある。
CDプレイヤーは、マニア氏所有のDENON DCD-1650G
DACは、エージングをお願いしているAK4390使用のDAC+SDRAM DAIで、DCD-1650Gは光、HiFaceは同軸で接続。
DACから先は、マニア氏所有の真空管プリとパワー、2Wayの小型スピーカ。
ソースは、マニア氏が日頃聴き慣れているボーカルモノのCDを選んで、PLEXTOR PX-716UFL+EACで取り込んだ。
フォーマットはflacでプレイヤーはLilith 0.992
まずは、きちんと音が出る状態までHiFaceを繋いで作業。
HiFaceを繋ぐとドライバのインストールを促されるので、ダウンロードした最新版のドライバをインストールする。
Lilithの設定は、
イコライザ設定
「イコライザ有効」のチェックを外す
リプレイゲイン
「再生時にリプレイゲインを適用する」のチェックを外す
サウンド出力
出力デバイス「WaveOut」「HIFACE Kernel Streaming」を選択
出力周波数は「変更しない」
出力ビット深度は「16ビット」
として、カーネルミキサー回避(HiFaceのドライバが勝手にやってくれてるはず)とLilithがデータを無加工で出力するように設定を変更。
試しで、ファイルを再生してみると一つ問題発覚。
どうやらHiFaceは、サンプリング周波数の情報をCHANNEL_STATUSに乗せていないというのは本当のようで、送り出しは44.1kHzなのに、SDRAM DAIは48kHzで出力してしまい、再生ピッチが速まってしまう現象が発生。
そのため、やむをえずSDRAM DAIのバイパスモードで試聴した。(M2TECHに改良してくれってメールしたけどどうなるかな?)
さて本腰を入れて試聴………。
以前FN1242A使用のDACを試聴した時も、トランスポートの違いが判断できたので、それなりに違いは判ると思っていたが、思っていたより違いが大きくてビックリ。
表現が的確かどうかは定かではないが、一言で言うなら音の粒の大きさが違う。
DCD-1650が音のシャワーであるならば、HiFaceは音のミストサウナである。
さらに粘度も違い、DCD-1650が粒のまま肌を伝わっていく感じなら、HiFaceはサラサラと肌の上全体を流れていく感じ。
何度も聴き比べて、マニア氏も同様の感想を持ったので、私の勘違いでは無いようだ。
思うに、HiFaceの方が音の濁りが少なくて一音一音分離している(高解像度である)ため、スッキリとした印象に聞こえるのではないかと思う。(よく言うヴェールを一枚剥がした感じ。)
逆にDCD-1650は音が団子になっており、結論から言えばHiFaceの方がよりHiFi(モニター的)であると言えよう。
ただし、そこは個人の感性(好み)が優先する世界、DCD-1650Gをトランスポートにした場合の付帯音(濁り?)が、ボーカルに独特の厚みや迫力を与えているように聞こえるのも確か。
どちらかというとマニア氏は、聴き慣れたDCD-1650Gの音のほうが好みのようだ。
私は、高解像度なHiFaceに軍配(笑)
まあ、これはあくまでボーカル主体の曲に限った話で、フルオケだと間違い無くHiFaceの方に軍配。
これならPCをトランスポートにしても問題なさそうだな。
ただ、DACから後ろが全部同じなのに、音の違いがどこで発生しているか?だが、まずはオカルト色払しょくのため、S/PDIFで転送されているデータが同じである事を確認してみるとするか。

PCをトランスポートにするその3

ライブラリの再構築であるが、基本的にはロスレス方式で保管するとして、圧縮形式を何にするか?
どうせなら、PS3ともライブラリが共有できればと思ったが、PS3はロスレスはPCMしか対応していないのであえなく挫折。(SONYなんだから、ATRAC Advanced Losslessぐらい対応しろよ〜)
ということで、現地点で一番堅そうなFLAC(Free Lossless Audio Codec)にしときましょ、iPodはしばらく買わないだろうから(笑)
さて、ライブラリの再構築をする場合、既存のファイルからコンバートする方法もあるのだが、この際リッピングからやり直す事にする。
状態の悪いCDでなければ、その辺のドライブでも正しいデータを読み出せるのだが、オーディオマニアにはうるさ方も多いので、それなりの品質のドライブを使うとする。
最近だと、CDリッピングをより精度良く行うPureRead(状態の悪いCDでも正確にリッピングするためのしくみ)を搭載したPioneerのドライブもあるようだが、手持ちに
PLEXTOR PX-716UFL
があるので、これでいくとしよう。
買ったときは結構良い値段したっすよ
PlexTools Professionalも使えるしね。
リッピングソフトは、定番のEACを使用する。(そういえばこのバージョンでオフセット値は治ったんだろうか?)
そうだ、実家に帰るタイミングも近いし、マニア氏と連絡を取って、HiFaceの試聴をしてみるかな?

PCをトランスポートにするその2

さて、PCをトランスポートにするの続き。
トランスポートのためのUSBオーディオ機器を選択する際のポイントの一つ
1.WindowsのKernelMixerを経由しない事。(厳密に言えば、KernelMixerを経由しても無変換で出力できる場合もあるが、それはまた今度。)
であるが、回避手段はいくつかある。
WindowsVistaから追加されたWASAPIを使用するか、DTMでよく使われるASIO、もしくはKernelStreaming(WDM/KSとよく略されている)を使用することだ。(もしくは本当にオリジナルの転送方法を使用するか。)
ただ手元のLet'sNoteは、WindowsVista以降が動くようなスペックではないので、選択肢はASIOかWDM/KSとなる。
さて、そこで問題がひとつ。
ASIOまたはWDM/KSを使用するとして、それらに対応したプレイヤーを使用する必要があるのだが、WALKMANを使っていた関係上うちのライブラリはATRAC Advanced Losslessで構築してあり、ASIO・WDM/KS対応のプレイヤーは軒並みそれが再生できないのだ。=:[
ATRAC Advanced Losslessが再生できるSonicStageがASIO・WDM/KSに対応してくれれば良いのだが、その望みは薄そうなので、他の形式でライブラリを再構築するか、SonicStageがある条件をクリアしているのを期待するかだが…。
まあ今後の事もあるので、ライブラリの再構築を選択するとしよう。

PCをトランスポートにする

古めのLet'sNoteにSSDを入れて復活させたものの、使い道が無くて寝かしたままになっていたが、もったいないので最近流行り?のPCトランスポートにしてみる。
自作のDACを使うので、必要なのはPCからのS/PDF出力。
Let'sNoteにはS/PDF出力は無いので、一般的なUSBのオーディオI/F(USBオーディオ機器)を増設する必要があるのだが、それを選ぶ際に注意するポイントがある。
1.WindowsのKernelMixerを経由しない出力が可能な事。
2.音声データ生成用の高精度のクロックを搭載している事。
Windows系USBAudio機器の場合、音質劣化の要因となる可能性がある部分は概ねこの二つ。
KernelMixerは、一定条件でデータを加工してしまう(条件に沿えば無変換で出力できる。)ので、オリジナルにこだわるピュアオーディオ派には不評だ。
実際のところ、搭載されているサンプリングレートコンバータのアルゴリズムは音質にさほど考慮していないらしく、音質劣化の原因と言って差し支えない。
高性能なアルゴリズムのサンプリングレートコンバータを搭載し、かつバイパスしたりできる高機能なKernelMixerをMSが提供してくれれば良いのだが、まだそこまで音質にこだわってはいないらしい。
音声データ生成用の高精度のクロックは、うちの場合必須ではない。
というのは、変換されたS/PDIF信号に多少ジッタが乗っていたとしても、DAC側にメモリバッファが載っているのでそれで吸収できるからだ。
ただ、メモリバッファ無しのDACで再生する場合もあるだろうから、高精度であるに越したことは無いので、一応選択肢に残しておく。
ちなみに、USBの転送モードやPC側のクロックは基本的に音質には影響しない。
よく聞かれる話で
「アイソクロナス転送はエラー訂正が無く、データ化けで音質が劣化する可能性がある」
というものがあるが、アイソクロナス転送でデータがしょっちゅう化けるようなケーブルやコネクタ、機器はUSB規格外の不良品だ。
まぁ環境等によっては、規格に沿った物を使っても100%化けないとは言えないのだが、通常音声データの下位ビットだけ常に化けるなんて器用な事にはならないので、普通に聴けるようであればデータ化けは発生していないと判断して良い。
そういえば
「USBオーディオ機器は、PC側のクロックに同期して音声データを生成しているのでジッタが多く音質が悪い」
という話もあったが、確かにデータ転送はPCのクロックと同期して行われるが(でないと通信そのものが成り立たない)音声データの生成はUSBオーディオ機器搭載の発振器から作られたクロックで行われるので、転送処理のクロックとは非同期だ。(同調してはいるが同期はしていない。)
転送用のクロックとオーディオデータ生成用クロックの周波数精度にズレがあったとしても、USBオーディオ機器に搭載されたバッファがそれを吸収するので基本的には無視できる。(バッファ容量が小さいと、曲が長かったり、プレイヤーが曲のデータを連結して送信する仕様だったりすると、差を吸収しきれずに音切れ等が発生する可能性はある。)
もし生成される音声データにジッタが多いとしたら、USBAudio機器に搭載された発振器(もしくは分周回路、パターンの引き回し)が悪いという事である。
ちなみに上の話は、まともなUSB機器として作られた製品の場合の話なので念のため。
長くなったので続く。

本邦初公開? YAQIN 6J1×2 真空管バッファアンプの中身

ということで、もしかしたら国内では初公開かもしれないYAQIN 6J1×2 真空管バッファアンプの中身を公開!!
って誰も期待してないか(笑)
まずはマニュアル…はたしてマニュアルと呼べるかどうかも微妙なもの。
マニュアルその1
マニュアルその2
ちなみに110V版のヒューズは、マニュアルの写真と違ってACインレット内蔵タイプになっています。
さて中身はどうなっているか?
裏返してパネルを外してみると「むぅ…」見ての通り非常にシンプルです。
真空管バッファアンプの中身
部品は、電源トランス、電源用電解コンデンサ、ダイオードブリッジ、抵抗、5極真空管、フイルムコンデンサ、LEDこれだけです。
メーカー?の言葉通り手配線だけど「ほう!!」と感心するような美しい配線ではないですね。
手配線といえば手配線
まあ、手配線で最短距離を結ぼうとした努力は評価しましょう(笑)
回路のベースになっているのは、以下のサイトの1-bと同様のカソードフォロアのようです。
http://www.gem.hi-ho.ne.jp/katsu-san/audio/follower.htm
音声信号経路は、フィルムコンデンサ→真空管→フィルムコンデンサとなっています。(抵抗は直列には入っていません。)
ちなみに、マニュアルによるとフィルムコンデンサはMKP(WIMA)ということになっていますが、真偽のほどは不明です(笑)
とりあえず、出生は非常に怪しいものの、回路・部品等は、オーディオを分かっている人が設計したものであるのは間違い無いようです。